終わらない毎日に花束を - 米津玄師 2017 TOUR / Fogbound
2017年12月1日、私は初めて米津玄師のライブに行ってきました。
きっかけは親友に誘われたから、でした。彼女は「自分の意志でライブに行く」のが初めてであり一人きりで行くのが少し不安だったので、ライブ慣れしている私に白羽の矢が立ったという訳です。
私自身は米津玄師に関しては全てのアルバムを何回か聴いていたものの、強い思い入れはなく特別好きという訳でもありませんでした。よくある「シングルになっている曲は好きだな」くらいのレベルです。
ですが、まずライブ直前に親友から最新作『BOOTLEG』を借りて聴いて、私はすっかり感動してしまいました。先行シングルがどれも素晴らしかったのでアルバムも割と期待していたものの完全に斜め上を行く完成度。ストレートなロックチューンからチルっぽい曲まで幅広く、歌詞も深度とエモさが増し、コラボしたアーティストも様々。流れも完璧。
そんな訳で、これはきっとライブもとんでもないことになるのでは?と一気に期待が爆上げされ、私は当日が楽しみで楽しみで仕方がなくなりました。
そして迎えた当日、当たり前のように期待を超えてきて私の感情は完全にバグりました。はい。ということで早速順を追って振り返っていこうと思います。セットリストやステージ演出のネタバレが普通にあるので見たくない人はここでさようならです。かしこ。
* * *
まず改めて説明すると、今回のライブは先月リリースされたニューアルバム『BOOTLEG』を引っ提げたツアー「Fogbound」の札幌公演。会場はニトリ文化ホール。キャパは2,300人の会場でチケットはソールドアウト。ライブの形態はバンドで、ギターとベースとドラムをサポートメンバーに迎え、鍵盤なども使用し、米津自身も曲によってはギターを弾くようなステージング。ステージの後方と上部には幾何学的なセットが組まれていた。
チケットは一緒に行った親友が取ってくれて、席はなんと1階の前から4列目の真ん中。まさにステージは「目と鼻の先」。ドキドキしながら待っているとライブは19時過ぎにスタート。
歓声に包まれて暗がりの中から登場した米津玄師は、白いTシャツに白い襟付きシャツを羽織り、それにヒョウ柄(?)のようなズボンを合わせる、というオシャレとダサさの中間管理職のような出で立ちで登場。相変わらず前髪は長い。
まず披露されたのはツアータイトルにもなった"fogbound"。池田エライザとコラボしたチル要素の強い楽曲。「霧が立ち込めた」という曲名の通りステージ前方からはミストが立ち込め、照明の演出も相まって会場は一気に幻想的な空間に。
続いて4年ぶりに「ハチ」名義でリリースされ話題となっていた"砂の惑星"。初音ミクに歌わせていた曲を飄々と歌う米津の凄さを感じた。かっこいい。
その後、"ナンバーナイン"、"飛燕"、"春雷"、"かいじゅうたちのマーチ"と、今回のアルバムの収録曲を披露。米津玄師はとにかく歌が上手い。CDで聴くのと変わらないくらい安定した歌唱力の持ち主であり、聴く者の心にしっかり届くような素敵な歌声だ。
"アイネクライネ"ではイントロで大きな歓声が上がり、人気曲であることを実感。曲に合わせて色を変えたりついたり消えたりする照明がMVを彷彿とさせ、ここで歌詞も相まって私は感極まり泣きそうになった(ギリギリで耐えました)。その後の"orion"でもじっくり聞かせ、少し長めのMCへ。
貫禄すらあるステージングとは裏腹に明らかに話下手な感じで、何を話すのかと思えば…。
「私は毎日毎日つまんねえつまんねえと思ってますよ。本当に退屈で。でもだからこそ、こんなに美しい日は最高にしたいじゃないですか。」
一字一句同じではないけれど、彼は覇気のない低い声でそういう旨のことを言った。それを聞いた瞬間「ああ、この人は自分と同じ側の人間なんだ」と悟った。
そのMC後に披露されたのは、早くもキラーチューンとなったシングル曲・"LOSER"。甲高いシャウトから始まり、ステージ上をハンドマイク片手にフラフラ歩きながら歌う姿に私はすっかり圧倒されてしまった。
きっかけは親友に誘われたから、でした。彼女は「自分の意志でライブに行く」のが初めてであり一人きりで行くのが少し不安だったので、ライブ慣れしている私に白羽の矢が立ったという訳です。
私自身は米津玄師に関しては全てのアルバムを何回か聴いていたものの、強い思い入れはなく特別好きという訳でもありませんでした。よくある「シングルになっている曲は好きだな」くらいのレベルです。
ですが、まずライブ直前に親友から最新作『BOOTLEG』を借りて聴いて、私はすっかり感動してしまいました。先行シングルがどれも素晴らしかったのでアルバムも割と期待していたものの完全に斜め上を行く完成度。ストレートなロックチューンからチルっぽい曲まで幅広く、歌詞も深度とエモさが増し、コラボしたアーティストも様々。流れも完璧。
そんな訳で、これはきっとライブもとんでもないことになるのでは?と一気に期待が爆上げされ、私は当日が楽しみで楽しみで仕方がなくなりました。
そして迎えた当日、当たり前のように期待を超えてきて私の感情は完全にバグりました。はい。ということで早速順を追って振り返っていこうと思います。セットリストやステージ演出のネタバレが普通にあるので見たくない人はここでさようならです。かしこ。
* * *
まず改めて説明すると、今回のライブは先月リリースされたニューアルバム『BOOTLEG』を引っ提げたツアー「Fogbound」の札幌公演。会場はニトリ文化ホール。キャパは2,300人の会場でチケットはソールドアウト。ライブの形態はバンドで、ギターとベースとドラムをサポートメンバーに迎え、鍵盤なども使用し、米津自身も曲によってはギターを弾くようなステージング。ステージの後方と上部には幾何学的なセットが組まれていた。
チケットは一緒に行った親友が取ってくれて、席はなんと1階の前から4列目の真ん中。まさにステージは「目と鼻の先」。ドキドキしながら待っているとライブは19時過ぎにスタート。
歓声に包まれて暗がりの中から登場した米津玄師は、白いTシャツに白い襟付きシャツを羽織り、それにヒョウ柄(?)のようなズボンを合わせる、というオシャレとダサさの中間管理職のような出で立ちで登場。相変わらず前髪は長い。
まず披露されたのはツアータイトルにもなった"fogbound"。池田エライザとコラボしたチル要素の強い楽曲。「霧が立ち込めた」という曲名の通りステージ前方からはミストが立ち込め、照明の演出も相まって会場は一気に幻想的な空間に。
続いて4年ぶりに「ハチ」名義でリリースされ話題となっていた"砂の惑星"。初音ミクに歌わせていた曲を飄々と歌う米津の凄さを感じた。かっこいい。
その後、"ナンバーナイン"、"飛燕"、"春雷"、"かいじゅうたちのマーチ"と、今回のアルバムの収録曲を披露。米津玄師はとにかく歌が上手い。CDで聴くのと変わらないくらい安定した歌唱力の持ち主であり、聴く者の心にしっかり届くような素敵な歌声だ。
"アイネクライネ"ではイントロで大きな歓声が上がり、人気曲であることを実感。曲に合わせて色を変えたりついたり消えたりする照明がMVを彷彿とさせ、ここで歌詞も相まって私は感極まり泣きそうになった(ギリギリで耐えました)。その後の"orion"でもじっくり聞かせ、少し長めのMCへ。
貫禄すらあるステージングとは裏腹に明らかに話下手な感じで、何を話すのかと思えば…。
「私は毎日毎日つまんねえつまんねえと思ってますよ。本当に退屈で。でもだからこそ、こんなに美しい日は最高にしたいじゃないですか。」
一字一句同じではないけれど、彼は覇気のない低い声でそういう旨のことを言った。それを聞いた瞬間「ああ、この人は自分と同じ側の人間なんだ」と悟った。
そのMC後に披露されたのは、早くもキラーチューンとなったシングル曲・"LOSER"。甲高いシャウトから始まり、ステージ上をハンドマイク片手にフラフラ歩きながら歌う姿に私はすっかり圧倒されてしまった。
米津玄師という人間は、堂々と敗者宣言をすることで見事に勝者となったのだ。
その勢いそのままに続けて披露されたのは"ゴーゴー幽霊船"。これには会場も大いに沸いた。何より自分にとって驚きだったのは、こんなにボカロの延長線上にあるような曲も生バンドでしっかり再構築し演奏しているという事実。あまりにもかっこいい。痺れた。
この後も"爱丽丝(アリス)"、"ドーナツホール"、"ピースサイン"、"Nighthawks"と披露。"LOSER"からここまでの流れで漂う「無敵感」がとにかく最高だった。
ライブも終盤になり、ここからはじっくり聴かせる流れへ。まずは先日発売された米津初の単行本「かいじゅうずかん」に付属している新曲"love"。会場が暗転したかと思えばステージ上部から半透明の巨大なスクリーンが降りてきて、曲が始まるとそれに合わせて絵本のような不思議な映像が映し出された。会場は一気にその独特な「米津ワールド」に引き込まれ、曲が終わるとこの日一番大きな拍手が会場を包み込んだ。
その勢いそのままに続けて披露されたのは"ゴーゴー幽霊船"。これには会場も大いに沸いた。何より自分にとって驚きだったのは、こんなにボカロの延長線上にあるような曲も生バンドでしっかり再構築し演奏しているという事実。あまりにもかっこいい。痺れた。
この後も"爱丽丝(アリス)"、"ドーナツホール"、"ピースサイン"、"Nighthawks"と披露。"LOSER"からここまでの流れで漂う「無敵感」がとにかく最高だった。
ライブも終盤になり、ここからはじっくり聴かせる流れへ。まずは先日発売された米津初の単行本「かいじゅうずかん」に付属している新曲"love"。会場が暗転したかと思えばステージ上部から半透明の巨大なスクリーンが降りてきて、曲が始まるとそれに合わせて絵本のような不思議な映像が映し出された。会場は一気にその独特な「米津ワールド」に引き込まれ、曲が終わるとこの日一番大きな拍手が会場を包み込んだ。
続けてDAOKOとのコラボも記憶に新しい"打上花火"。セルフカバーバージョンはかなり落ち着いたアレンジになっており、個人的にはこっちの方が好きだったり。外は極寒のマイナス4度のはずが、一瞬だけこの空間は夏の夜になったような気がした。
次に披露されたのは"Moonlight"。私が今回のアルバムの中で一番気に入っている曲。もしかしたら好き嫌いが分かれる曲なのかもしれないが、チルっぽいサウンドと狂気じみた歌詞がとても良い。
そしてラストは菅田将暉とコラボしMVもかなり話題となった"灰色と青"。もう涙腺は崩壊寸前。歌詞が本当に染みる。本編は盛大な拍手で幕を閉じ、私はほとんど放心状態でその場に立ち尽くしていた。
アンコールを求める拍手がしばらく続いた後、再びステージ上部からスクリーンが降りて、米津本人も登場。曲の世界観を表した映像とともに"ゆめくいしょうじょ"が披露された。
その後は本日2度目のMCへ。バンドメンバーを紹介し、他愛のない話で会場の笑いを誘った後、自身の心境について語られた。「自分は音楽によって生かされていて、もはや音楽の奴隷だ」「それが良いことか悪いことかは分からない」「さっきも言ったけど毎日が本当に退屈でめんどくさい」「でも今日みたいな日があるならそういう毎日も愛おしく思える」…。全てが等身大の言葉で、胸に刺さるものがありすぎた。
そうして"Neighbourhood"が披露され、アンコールも終了。ギターピックを3つ投げてから、会場からの熱い拍手に感謝しながら彼はステージを去っていった。
* * *
会場を出た私と親友は完全に語彙力を失っていた。特に親友が「最高だった」と「結婚したい」しか言ってなかったのがすごく良かった。私はもはや何も言えなかった。
ただ、気持ちの整理がついた今言えるのも、やっぱり「最高のライブだった」というシンプルなものだ。本当にそれに尽きてしまう。
しかしそれではライブレポとしてはあまりにもお粗末なので言葉をひねり出すと、"灰色と青"の歌詞にもあるように「どれだけ無様に傷つこうとも 終わらない毎日に花束を」捧げるような、その日会場にいた一人一人の毎日を労いあるいは弔うような、そんな素晴らしい夜だったと思う。
心からありがとうと言いたい。
* * *
最後にMVを貼っておきます。
・LOSER
この曲で米津玄師を好きになった人も多いのでは? この独特なダンスめちゃくちゃ良いよね。ライブでもハンドマイクで歌う際はこの曲に限らず終始不思議なクネクネした動きや滑らかなステップでステージ上を縦横無尽に移動していてそれがとにかくかっこよかったです。ええ。
・ピースサイン
アニメ主題歌にもなったストレートなロックチューン。本当にストレート。でもそれが良い。「さらば掲げろピースサイン」と歌われる所でみんな本当にピースサインを掲げてたのが良かった。
・砂の惑星
アルバムには米津本人が歌ったセルフカバーを収録。会場の外にはMVに出てくる初音ミクとその仲間たち(?)と写真を撮れるパネルブースがありました。サムネそのまんまだな。
・灰色と青
これがエモくなくて何がエモいんだよ。菅田将暉かっけえな。
いやしかし、長々とお付き合いありがとうございました。『BOOTLEG』は本当に良いアルバムなので気になった方は要チェケラーです。間違いなく今米津玄師がきてますよ!
いやしかし、長々とお付き合いありがとうございました。『BOOTLEG』は本当に良いアルバムなので気になった方は要チェケラーです。間違いなく今米津玄師がきてますよ!
米津玄師 2017 TOUR / Fogbound
12/1 @ニトリ文化ホール
セットリスト
1. fogbound
2. 砂の惑星
3. ナンバーナイン
4. 飛燕
5. 春雷
6. かいじゅうのマーチ
7. アイネクライネ
8. orion
9. LOSER
10. ゴーゴー幽霊船
11. 爱丽丝
12. ドーナツホール
13. ピースサイン
14. Nighthawks
15. love
16. 打上花火
17. Moonlight
18. 灰色と青
アンコール
19. ゆめくいしょうじょ
20. Neighborhood
(文:おすしたべい子)
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