テンプレサブカルマッシュが鳴らす新しいロック


悔しいけど自分の中で久々に大ヒットしてしまったバンドがいる。こんなにハマる予定じゃなかったのに…。


なぜ悔しいかと言うと、そのバンドのヴォーカルが今や掃いて捨てるほど存在する「前髪長めのマッシュヘアー+ハイトーンボイス」というサブカルバンドのお手本のような様相を呈しているからだ。完全にテンプレ。サブカル女子受けパーフェクト。


しかもバンド名が「おいしくるメロンパン」ときた。おいしくる、とは…???


とりあえず距離を置こうとする人は多いだろうし、アレルギーを起こすおじさんおばさんもいるだろう。


ところがどっこい…私はすっかりこってりファンになってしまった。


単に私がその辺の「エモい」と「チルい」と「好きぴの副流煙で死にたい」しか言わないサブカル女子に成り果ててしまったというだけのことなのかもしれないけど、それで片付けるのはあまりに惜しい。語ります。某地下室タイムズでは酷評されてたから敢えて褒めます。


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「おいしくるメロンパン」は2015年から東京を拠点に活動しているスリーピースバンド。


メンバーはナカシマ(Vo. G.)峯岸翔雪(Ba.)原駿太郎(Dr.)の3人。
左から峯岸→ナカシマ→原。全員いいヤツなんだろうな。

バンド名はナカシマくんがメロンパンを食べていた時に「メロンパンが美味しい状態」として思いついた言葉が由来らしい。ウケる。


そんな彼らは2016年の夏、あのWHITE ASHを輩出したことでも有名なロッキング・オン主催のコンテスト「RO69JACK」で見事優勝。なるほどロキノンの折り紙付きというわけだ。


そして面白いのはメンバーが影響を受けたアーティスト。


・ナカシマ:andymori相対性理論

・原:フジファブリック

・峯岸:BLANKY JET CITY


ブランキ―は少し世代が違うにしても、この漂う「新世代感」。生粋のロキノンリスナーと見た。悪くない。そしてみんな暗い部屋で無意味な夜更かしをしながら一人でイヤホンで聴いてたんだろうなと勝手に想像する。悪くない。


そんなeverything is my guitarなおいしくるメロンパン。まずメンバーを見て最初に思うことと言えば、冒頭でも言った通りヴォーカルのナカシマくんの見た目が凡百のサブカルバンドのテンプレートであるマッシュヘアーであること。イイ感じに目が隠れて何となく川谷絵音とか尾崎世界観とかその辺を思い出す。ズボンも当然のようにスキニーを履いている。

彼のTwitterのアイコンにもなってるこの写真。これが「サブカル映え」だよ見ておけ。
(ちなみにこの記事を書いている時点ではマッシュ具合は緩和されつつも前髪は相変わらず長い。分かるよ前髪長いと落ち着くもん。)

そんなナカシマくん、これまたお手本のようなハイトーンボイスときた。何もかも揃いすぎてる。ここまでの情報で「あ、もういいですお腹いっぱいです」と呟いてディスプレイをそっ閉じする方も多々おられよう…。

しかし待ってくれ。もうちょっとだけ待ってくれ。

おいしくるメロンパンは9月27日に新作である2ndミニアルバムを発表した。『indoor』と名付けられたこの作品、特にリード曲「あの秋とスクールデイズ」がとにかく良い。
おそらくこの曲だけで彼らの自己紹介は十分だろう。クリーントーンの軽快で爽やかなギター、ひたすら突っ走るアグレッシヴなドラムとベース。過度な装飾はない。メロディもスッと入ってくる。

中盤のギターソロでエモーションが爆発する感じ。繰り返される「情けないな」。サビで力が入るヴォーカル。良い。ナードたちが飄々と鳴らす弱者のロック。良い。

私は完全にやられてしまった。

バンドの最小単位とも言えるスリーピースという形態。個々のプレイヤビリティが露骨に浮き彫りになる中で彼らのバランスは絶妙だと思う。上手い。そのサブカルアイコンとしてすぐに消費されそうな見た目に反して実はアツい何かを持っている気がしてならない。

というか、むしろそういう見た目である程度リスナーをキャッチし曲を聴かせ、見事にファンを獲得する策士なのでは、とさえ思ってしまう。

数多と出てきては消えていくバンドシーンで絶妙に上手く隙間を突いた君たちの勝ちだよ。拍手を送ろうじゃないか。

ここまで言ってもおそらくダメな人はダメ。多分そういうバンドだしそれは仕方ないけど、私はもう完全に気に入ったし知れてよかった。今後がめちゃくちゃ楽しみなバンドです。

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さて、冒頭でもチラッと触れたが、石左氏は地下室タイムズで彼らを酷評している。

おいしくるメロンパンが嫌いな人とお友達になりたいな

 「おいしくるメロンパン」というバンド名を聞いた瞬間にもう「嫌いだ」と思った。 ネーミングセンスにはその人間の人間性が詰まっている。どういう語感、単語をカッコイイ、カワイイと思うかが剥き出しになるのだから。 たとえば犬にモカとかショコラ、みたいな名前つける女は95%キャバクラで勤務経験があるし犬種はトイプードル。整形しててもセンスはブス。ネーミング一つにも情報が詰め込まれている。 バンド名や曲名にも似たようなことが言える。邦楽ロック女子に的を絞っているバンドは何かと「ガール」ってつけがちだし、ヘンなバンド名のバンドは名前からすらもインパクトとか話題性を作ろうとする人がやっているワケだから、必ず不思議ちゃん枠の女メンバーが一人いたりする。 名は体を表す。そう考えた時に「おいしくるメロンパン」っていうバンド名をつけるようなヤツは、絶対男のくせに萌え袖してるし前髪長いしパン類は両手で掴んでリスのような食べ方をして可愛さアピールするし「女の子みたいだね」「中性的だね」って言われると喜ぶしヒゲはしっかり生える。いたでしょ、そういうヤツ。鍵アカでフォローしてくるヤツ。 でもまあ、聴きもせずに嫌い嫌い言ってても仕方ないので調べて聴いてみたんですけど 無理。 オイ萌え袖と前髪とヒゲ当たってんじゃねえか。こんなもん残りも全部当たってるだろ。無理です。聴いてるとアレルギーで扁桃腺腫れてくるマジで。 バンドなんていうのは曲から歌詞からルックス、アートワークまで、トータルしてセンス勝負みたいなもんで、好きな音楽と異性の好みみたいなもんはピッタリと当てはまるのだ。 こういう音楽を、ルックスを、キャラクター性を愛せてしまう女はマジで一生男の趣味が悪い。いつまでもフクザワの絵かおやすみプンプンの愛子ちゃんをアイコンにしてるし「菅田将暉を飼いてえ」みたいな百万回言われ尽くしたことを面白いと思って言っとる。いい年こいて黒髪ボブだしな、工場生産されてんのかお前ら。

BASEMENT-TIMES

>以下、記事より抜粋。
親の敵か何かなんだろうか? サウンド面で一定の評価をしつつもこれは…。むしろ色々心配になってくるし、マウントを取るのに必死な感じさえする。かわいそう。

最終的に彼が言うには「見たまんま中性的という武器で女に取り入ろうとしてる」のが気に食わないらしいし、そういう薄ら寒さを見抜ける意地の悪いヤツとだけ居たいらしい。

それはそれで彼の価値観だし共鳴する人もいて当然だとは思うけど、結局お前は表面的な部分が評価基準なんだなっていう。

バンド名が無理。見た目も無理。plentyっぽいからダメ。色々こねくり回して誤魔化してるけどそれはただの「思考停止」です。批評じゃない。

確かに視覚的な情報は重要。でも私はそれで本質的な部分が潰されてしまうのは嫌だし、そこを何が何でも評価してやりたい。こんな時代だからこそ。

ここでみんなは気づくだろう。残念ながらそういう気持ちも私のエゴだし、私は「アンチのアンチ」という立場を持ってしてマウントを取っているにすぎない、ということに。

そんな不毛な戦いの当事者として身を投げつつも、「邦ロックw」と頭ごなしにバカにされそうなバンドにも面白い人たちがいることを伝えたい…という気持ちを忘れずに大事にしたい。

石左さんならもっとマシな記事が書けると思うよ。期待してます。

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おいしくるメロンパン
2nd Mini Album『indoor』
in store now
1. 桜の木の下には
2. look at the sea
3. caramel city
4. 泡と魔女
5. あの秋とスクールデイズ

・look at the sea (MV)
夏に似合う爽やかなロックチューン。猫になりたい。

・あの秋とスクールデイズ (MV)
貼るの2回目だけどほんと良いなこの曲。ちなみにこれまでのMVでは一切なかったナカシマくんのカメラ目線がついに解禁。コメント欄が喜びの声で溢れててウケた。

サクッと聴ける良いミニアルバムです。気になった方は是非。


(文:おすしたべい子)

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