UKサウンドと声優の邂逅 ~花澤香菜
あなたは花澤香菜という声優をご存じだろうか?
僕はこうして記事にしているくらいなのでファンと言っていい人間だけれども、ファン以外にも知名度の高い声優だと思っている。全国放送のテレビ番組への出演もあるし、何よりアニメへの出演本数が半端じゃない。アニメ好きなら絶対一度は声を聴いたことがあるといっても過言ではないだろう。
今回取り上げるのはそんな彼女が今年リリースした4thアルバム「Opportunity」である。
今作のテーマはズバリ! UKサウンドである。
知っている人もいるかもしれないが、彼女のソロ作品は結構面白いことをしている。前作「Blue Avenue」ではニューヨークのミュージシャンを従えて本格的なAORに挑戦していたりする。
話を戻すが、UKサウンドがテーマといっても彼女がUKに精通している…というわけではない。
あくまでUKサウンド路線は彼女のソロプロジェクトのプロデューサーの北川勝利の主導である。
で、この北川勝利を始めとして今作に楽曲を提供している錚々たるメンバーが見事にみんなUKサウンド大好きおじさんたちなのだ。
そんなおじさんたちが花澤香菜のために作った楽曲たちには70~90年代のUKサウンドのエッセンスがこれでもかっ!というくらいふんだんに盛り込まれている。インタビュー等で明かされている分の楽曲の影響源を挙げてみよう。
The Beatles、New Order、The Stone Roses、The Rolling Stones、The Cure、Fairground Attraction、10cc
これらはほんの一部で、おそらく聞く人が聞けばもっと色々なところからの影響が感じられるんじゃないかと思う。
そしてダメ押しはSimply Redのミック・ハックネル。これはまさかのご本人直々の楽曲提供である(もちろん花澤香菜のソロプロジェクトチームからのお願いではあったが)。
これでこのアルバムのUKサウンド路線が飾りでなくてガチでやっているのが分かるんじゃないだろうか?
え?花澤香菜本人は?
冗談はさておき、彼女はヴォーカルと作詞での参加だけだ。
しかしどの曲も”彼女の声”ありきで作られている。
癒される!透明感が素晴らしい!可愛らしい!なんて言葉では片づけられない(そして僕の語彙力では十二分に表現できない)魅力を持つ彼女の声…。
巷では天使の声なんて言われているが、個人的にはまさにその通り!と言いたいところだ(ただのファン)。
彼女は歌唱力という部分では何かずば抜けている物があるわけではない。
しかし下手に甘く媚びたような歌い方をせずに、丁寧に言葉を置きにいくしっかりとした歌い方をしている。これが彼女の声質に物凄く合っており、”萌え”の無い透き通った天使の歌声を生み出している。
そんな彼女の声、歌い方が楽曲製作においても主軸にあるのでUKサウンドが主張し過ぎることもなく、2つの要素を無理なく融合させられているのだ。
前述のUKサウンドの影響源そのままというわけではなく、様々なポップス要素を融合させてUKサウンドを残しつつも現代のポップスとしても遜色なく聞けるようにアレンジが為されているのも、彼女の声がきちんと念頭に置かれているから。
またUK大好きおじさんたちは彼女の声が惚れ込んで作っている部分があって、”花澤香菜というフィルターを通して作ってみたUKサウンドミュージック集”みたいな側面もあったりする。(その極地ともいえる最終トラック「Blue Water」は必聴です!ぜひ!)
そういった面でもやはりこのUKサウンド路線のアルバムは誰でもいいわけではなく、花澤香菜だからこそ実現できたアルバムなのだ。
ここまで長々と語ってきたが、要するに実は声優のアルバムだってこんなに面白いことやっているんだよ!ということを言いたかった。彼女を取り上げたのは僕がファンだから(笑)
もしもこの記事を読んで「聞いてみようかな?」と思った方がいたら花澤香菜に限らず様々な声優のアルバムを聞いてほしいと思う。
きっと予想していたよりも遥かに興味深くて面白い音楽に出会えるはずだ。
(文:Showta@)
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