ヴィジュアル系が生み出した突然変異~DIE IN CRIES「VISAGE」(1992)

 ヴィジュアル系というジャンルを好んでもう10年近くになる。定番からキワモノまでこの手のジャンルはいろいろ見てきたと自負していて、クオリティが高いのにいまいち世間の評価が納得行かない音源がいくつもある。それはヴィジュアル系に限らず音楽好きな人なら一度は経験していると思う。

 今回はヴィジュアル系におけるそんな音源の1つ、DIE IN CRIES「VISAGE(ヴィサージ)」を紹介しようと思う。

 (こんな大口叩いといてリアルタイムじゃないし、もともとラルクのメンバーの活動を追いかけていて9年ほど前に知ったバンドだし、知ってからもなんとなく3年位は聞かずに放置していたけど・・・)

 

DIE IN CRIES「VISAGE」ジャケット

  1. Die of cold
  2. FUNERAL PROCESSION
  3. RAPTURE THING
  4. 硝子の肖像
  5. 水晶の瞬間~to immortality~
  6. 仮面の下の表情(カオ)
  7. MELODIES
  8. 慈悲の椅子
  9. L.O.V.「 」・・・
  10. INSTEAD OF KISS
  11. WEEPING SONG(VISAGE MIX)

 DIE IN CRIES(ダイ・イン・クライズ)は1990年から1995年まで活動したロックバンドで、メンバーは以下の通りになっている。


・Vox:Kyo...80年代後半から90年代初頭にかけて活躍したヴィジュアル系創成期の伝説的バンド、D'ERLANGER(デランジェ)の元ボーカリスト。なおD'ERLANGERは2007年に再結成している。

・Guitar:室姫深...メインコンポーザーでもある。日本ロックシーンに多大な影響を与えたTHE MAD CAPSULE MARKETSの創設メンバー。

・Bass:TAKASHI...X JAPANのHIDE、D'ERLANGERのKyo、そしてドラムのTETSUが昔組んでいたバンド「横須賀サーベルタイガー」の弟分、THE ACEの元メンバー。ちなみにTHE ACEのギタリストは現ELTの伊藤一朗。

・Drum:YUKIHIRO...元Zi:Killのドラマー。DIE IN CRIES解散後L'Arc~en~Ciel(ラルクアンシエル)に加入し、現在に至る。


・・・と、まあヴィジュアル系やあの年代のロックを知るものにとっては凄い布陣なのだ。(色々当時のシーンは狭くて、すぐ出会ったり別れたりするんだ。そこは目をつぶってくれ。)

 ある意味スーパーチーム的なバンドだったが、メンバーがかなり独特だった。

  • 低音域で歌う野性味あふれるボーカル
  • ギターシンセなどで装飾したギターが光るポップかつダークなメロディ
  • この界隈というかロックバンドとしては珍しい5弦のうねるフレットレスベース
  • キャノンタム、ロートタム、チャイナシンバルを駆使し、ドラムン・ベースやジャングルなんて流行りだす前にそれに近いドラミングを見せている打ち込みの如き正確なドラム

・・・一見バラバラなのに噛み合ってて、特にドラムなんて今聞いても何やってるのかわからない時あるもん。手が3本くらいあるんじゃないかな!

 特にYUKIHIROは当時のジャパニーズメタルやハードコア・パンクとクラブミュージックをかけ合わせたような源流を持っているのがかなり特異である。

 これだけでも独特なのに、音楽性を形容するなら

BOΦWY的ビートロック+エレクトロ・ボディ・ミュージック+ゴシックロック+ニューウェーブ+インダストリアル

という当時の洋楽邦楽の最先端のごった煮である。

 これだけ幅広く音楽を吸収してるのにもかかわらず、メインコンポーザーの室姫のソングライティングとギターシンセを効果的に使ったギターサウンドが抜群に良く、8ビートや16ビートを変則ビート(変拍子じゃないよ)にしておきながら歌モノとしてめちゃめちゃ聞きやすいという不思議な感覚が癖になる。

 このバンドで特に面白いのがリズム隊。ドラムにはロック的なうねりや重さがほとんどないが、ベースは5弦フレットレスベースを指弾きで駆使し、かなりうねりがあるため本当に同じバンドのメンバーとは思えない質感が不思議な感覚になる。こと音楽面に関しては他のフォロワーが浮かばない。

 あくまでもポップなロックの一端なのによくよく聞くと構成から音作りからとんでもなく凝っていて、○○っぽいという形容が一切できないバンドというのが彼らにふさわしい。

ポップで奥深いという本質だけで敢えて例えるとBUCK-TICKが最も近いが音楽性はまるで違うし。

 そんな彼らだが実はこの作品以降は歌モノ路線を突き進み、みんなで歌えるロックバンドに変貌していく。つまり歌モノでありながらも実験的な要素がかなり強いのは今回のみ。そう考えるとバンド自体の活動のスタンスを考えても今作は貴重な一枚であり、90年代のLUNA SEA、黒夢、GLAY、ラルク(異論はあるけどやっぱヴィジュアル系音楽の文脈的には、ねえ・・・)台頭前夜のヴィジュアル系に生まれた突然変異のようなバンド、という点でもかなり面白い音源なのだ。


 ☆個人的におすすめなのはMELODIES水晶の瞬間、そしてFUNERAL PROCESSION

聞きやすいのに凝っているという彼らの特異性を何よりも体現した曲だと思う。特にギターシンセの使い方が上手い。


DIE IN CRIESMELODIES


DIE IN CRIES水晶の瞬間

DIE IN CRIESFUNERAL PROCESSION

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