Boy meets NUMBER GIRL

あれは2011年の初夏だったと思う。


当時の私は浪人生で、毎日自転車で実家と予備校を往復するだけの平坦な日々を過ごしていた。勉強に専念するために携帯電話は解約し、予備校でも新しい友達はつくらず、当時の楽しみと言えば予備校帰りに街をブラブラすることと音楽を聴くことと高校の同級生3人と文通をすることくらいだった。


そんなある日、予備校帰りに寄ったHMVで、私はNUMBER GIRLというバンドのCDを買った。
彼らの音源こそ聴いたことはなかったものの、存在自体は以前から知っていた。というのも、私は高校生の頃からBase Ball Bearの大ファンであり、彼らがNUMBER GIRLから多大な影響を受けているという話は至る所で見聞きしていたからだ。ただ、聴く優先順位としては随分と下で、なかなか手が出せていない状況だった。
しかし浪人の身となった途端、娯楽の大部分が音楽鑑賞になり、とにかく新たな音楽に飢えていた。そんな中でふと彼らの存在が浮かび上がり、ようやく聴く順番が回ってきたという訳だ。



…第一印象は最悪だった。まずはジャケット。


まあ、私の方が上手く描けそうだわな…。(イキるのはやめようね)


とりあえずベスト盤がないだろうかと探すと案の定それらしきものを発見したものの、何やらのっぺりしたヘタッピな絵が描かれているし(左下の顔の白抜きは眼鏡だよな?ウルトラマンじゃないよな?)、右上にはやたらギザギザした字で"OMOIDE IN MY HEAD 1"と刻まれていた。こんなジャケット…なめてるのか?と思いながらも、二枚組で3,000円というお買い得さもあって結局買って帰った。



帰宅して開けてさらにビックリ。ブックレットに載っている眼鏡のボーカルらしき人物がどう頑張っても犯罪者にしか見えない!!!


人相悪すぎ!シャツの襟ずれてるし。ちゃんとしなさいよ!…とか思いながら再生ボタンを押してまたまたビックリ。


声ちっさ!!!!!









しかしどうだろう…。気づいたら虜だった。そんなもんなんだ。例えば気に入ったデザインの車がフルモデルチェンジされる際に「いやいやいやこのデザインは絶対ねえだろうよ…」と思うことは多々あるけど何だかんだで好きになるし。って伝わりにくいか。


鋭利なギターサウンドのかっこよさ、敢えて聴こえづらいボーカル、得も言われぬ焦燥感。夏という季節と浪人生という自分の境遇も相まって、彼らの音楽は当時の私を「エモく」彩った。 誰が何と言おうとNUMBER GIRLはエモい。
初めは絶対ルックスで損をしていると思っていた向井秀徳という男も、あのどうしようもない見た目でめちゃくちゃかっこいい音楽をやっているからこそ自分にも響いている、ということに気づくのにそう時間もかからなかった。
あのタイミングで彼らに出会えていなければ、あの夏を乗り切ることはできていなかったかもしれない。受験勉強へのモチベーションを保てたのも、彼らの音楽からパワーをもらえていたからだと今になって思う。それくらい、重要な出会いだった。



という訳で、なかなかパーソナルなナンバガ体験記でした。
最後に、まだまだ夏を終わらせたくない!!!という意味を込めて、日本のオルタナ史に燦然と輝く彼らのキラーチューンを貼っておきます。



とにかく
オレは
気づいたら
夏だった!!

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