雨が紡ぐ幽玄の世界~Plastic Tree「雨中遊泳」(2017)
1993年に結成、2017年でデビュー20年目を迎えるヴィジュアル系バンド、Plastic Tree。
彼らはゴシック・ロック、パンクロック、ヘヴィメタルをルーツとするヴィジュアル系にしては珍しくオルタナティブロックやシューゲイザーを音楽性の一つに持つことでも知られており、
ヴィジュアル界のバン○オブ○キン、もしくは黒い○ピッツのような例え方もできるバンドだ(色んな方面から怒られそうなやつ)。
その為、むしろ音楽的には親しいバンドの多いROCK IN JAPAN FESTIVALのような非ヴィジュアル系フェスにもよく出演している。
そんな彼らが2017年6月21日にリリースした40枚目のシングルは彼らがもともと得意なテーマでもある「雨」をベースに、
王道のシューゲイザー的なサウンドを全面に押し出した作品になった。
ベースの長谷川正の作曲した表題曲は、彼らの持ち味であるどことなく陰鬱なシューゲイザーサウンドに、安定感の有るベースとヌケの良いドラム、
ボーカル有村竜太朗の翳りと切なさと儚さを帯びた歌声と歌詞が見事に調和し、
タイトル通りどこか浮遊感を漂わせるような雨の時に聞きたい一曲に仕上がった。
二曲目の「ユートピアベリーブルー」はドラムの佐藤ケンケンが作曲を担当し、跳ねるようなドラムとピアノの映えるダンスナンバーが特徴的だ。
そこに、ギターのナカヤマアキラが英語を敢えてカタカナ表記として書く歌詞をプラスすることで、日本語ヒップホップのようなどこか堅い発音でカクカクしたリズム感をプラスしている。
そのことが、ただのダンスナンバーには終わらない違和感(アクセント)になり聞けば聞くほど発見のあるナンバーに仕上がっている。
(文:アキオ シロートマグル)
Plastic Tree「雨中遊泳」CDジャケット
Plastic Tree - 雨中遊泳【MUSIC VIDEO】
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